チキンレース 2017 7 30

書名 中国がトランプに完全に敗れる6つの理由
著者 日高 義樹  PHP

 日本人としては、
親中政権だったオバマ政権と違って、
トランプ政権は何か違うだろうという思いがあります。
「その何か」を解説したのが、この本と言えるでしょう。
 しかしながら、やはり日本人を不安にさせる出来事が続いています。
それが、北朝鮮のICBM(大陸間弾道弾)開発でしょう。
 このミサイルは、アメリカを標的とするもので、
現在、サンフランシスコやロサンゼルスを射程圏内に収めています。
次の目標は、ワシントンやニューヨークです。
 北朝鮮のICBMは、進化速度が想定外に早く、
今年中には、ワシントンやニューヨークが射程圏内になるでしょう。
 このような状況を見て、
中国やロシアは、内心では、
北朝鮮に対して、「もっとやれ」という深層心理でしょう。
 北朝鮮は、アメリカを標的とするミサイルを開発しているので、
「闇のルート」で、北朝鮮のミサイル開発を支援したいところでしょう。
 中国やロシアにも、アメリカを標的とするICBMがありますが、
北朝鮮がICBMを開発して、アメリカに対抗してくれるならば、
中国やロシアの本音としては、自らの手を汚さないで済むので、
裏ルートで北朝鮮のミサイル開発を技術的に支えたいところでしょう。
 アメリカにとっては、オバマ政権の「失われた8年」が、
非常に大きな痛手となるでしょう。
 もはや、トランプ大統領が、じたばたしても、どうにもならない状況でしょう。
アメリカは、北朝鮮のICBMが進化するのを眺めるだけとなる可能性があります。
そして、アメリカは、北朝鮮の核兵器におびえる時代がやってくるかもしれません。
 中国やロシアの核兵器には「理性」がありますが、
北朝鮮の核兵器には「理性」がありません。
独裁者の一存で、すべてが決まります。
 アメリカは、「イスラム国」による自爆テロを恐れていましたが、
今度は、北朝鮮による「核兵器自爆テロ」があるかもしれません。
 それでも、アメリカは動けないかもしれません。
北朝鮮は、ソウル特別市の市民1000万人を消滅させると宣言するかもしれません。
 つまり、北朝鮮は、「1000万人の市民」という人質を取った上で、
ICBMでアメリカを脅迫しているのです。
 さらに、北朝鮮が崩壊すると、
朝鮮半島の復興費用に、数百兆円もかかるぞと脅すかもしれません。
 ジェームズ・ディーンの「理由なき反抗」という映画では、
「吹き曝しの高台で、ジムとバズは、
それぞれ、ボロ自動車を崖の端にフル・スピードで走らせる。
 ジュディやバズの不良仲間が見守る中で、
ジムは巧く崖際で車から脱出したが、
飛び出しそこねたバズは、自動車ごと、そのまま谷底へ落ちていった」
(ウィキペディアから引用)
 アメリカと北朝鮮のチキンレースは、
どのような結果になっても、双方に甚大な被害が出るでしょう。
そして、中国とロシアは、漁夫の利を得るでしょう。

失われた8年 2017 7 9
 7月4日に北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を受けて、
アメリカからは、「同盟国を守る」という趣旨の発表がありましたが、
もはや、そういう段階を通り越して、「アメリカの危機」になっているのです。
 オバマ政権の8年間、アメリカは、北朝鮮に対して、
「戦略的忍耐」という「見て見ぬふり政策」を取ってきました。
 これは、北朝鮮がミサイル開発をすれば、
日本に対して、ミサイル防衛システムが販売できるという思惑があったのでしょうが、
ここに大きな勘違いがあったのです。
 実は、日本を標的とした弾道ミサイルは、とっくの昔に完成していて、
ここ数年は、アメリカを標的としたミサイル開発をしてきたのです。
 にもかかわらず、オバマ政権は、「戦略的忍耐」でした。
そういうわけで、オバマ政権は、「平和ボケ」していたと言ってよいでしょう。
 さて、中国もロシアも、北朝鮮に対して、
同じように「見て見ぬふり政策」をしてきたのは、
オバマ政権のように「平和ボケ」をしていたわけではありません。
 中国もロシアも、北朝鮮がアメリカを標的とするミサイルを開発するのを見て、
「実に好都合だ」と思ったからです。
 さすがに、北朝鮮に「もっとやれ」と言うわけにはいかないので、
中国もロシアも、「戦略的忍耐」という「見て見ぬふり政策」を取ってきました。
 要するに、オバマ政権の「戦略的忍耐」という政策と、
中国やロシアの「戦略的忍耐」という政策は、全く中身が違うのです。
 軍事技術には、時にブレイクスルーがあります。
「あの国は、そういう技術はない」と見くびっていると、
とんでもないことになります。
「しまった」と思った時には、もう遅いのです。
アメリカは、朝鮮半島に関しては、8年間を無駄にしてしまいました。
 後任のトランプ大統領がじたばたしても、もう遅いのです。
もう北朝鮮の野望を誰も止められないでしょう。




































































































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